ヘルメット遮熱、温度表示マジックに注意!

ヘルメット遮熱、温度表示マジックに注意!
   ヘルメットは熱源が二つ、ムレの原因は自分の熱

 

 


ヘルメットの内側に遮熱材を貼った商品がありますが、ムレるという話をたくさん聞きます。その解明をしてみます。遮熱を知らない人も多いので細かく説明します。重要なポイントは概ね以下です。

 


POINT① 熱は熱い方から冷たい方にしか移動しない。

POINT② 温度差が大きいほど熱の移動量は多くなる。

POINT③ 暑さは、気温(温度)より輻射熱の影響が大きい。ムレは、この輻射熱の        影響が大

POINT④ 遮熱材は反射率が高いほど、反射して戻る輻射熱が多い。

POINT⑤ ヘルメットの暑さは、太陽と頭部の二つ熱源が影響する。

 


 先ず、ヘルメットに遮熱材を貼っていないものと遮熱したものを考えてみます。左側は、遮熱未施工の物ですが、太陽からの一次輻射熱はヘルメットに照射すると一部は反射しますが、大半はヘルメット帽体に吸収され熱となります。すると、”熱は熱い方から冷たい方へ移動”の原則に則り、大半は帽体から頭部に二次輻射熱として照射され発熱、頭部は暑く感じます。頭部は汗をかいた状態となり、これがムレになります。

 一方、遮熱した右側のヘルメットは帽体に熱を吸収しますが、内側の遮熱材にて阻止され帽体から屋外に放出されます。従って、帽体内の温度は低下しますのでヘルメット内は涼しい様な感じがします。
私共の試験では、ヘルメットの屋外側が75℃位の時、遮熱材表面温度は32℃位ですから43℃も下がりました。(室温23℃、遮熱材の反射率97%)、勿論、室温が上がれば帽体内の温度も上がります。

 

 

        《遮熱未施工》                    《遮熱施工》

 

 

ところがどっこい、ここに落とし穴があります。


ヘルメットはこの状態で使用する訳ではなく、頭部を入れて使用します。


 つまり、ヘルメットにはもう一つ、第二の熱源の頭部があるのです。

ハンドウオーマーという、遮熱材で作製した筒があります。これは、寒冷地で職人さん達は手が悴んだ時この中に入れて手を暖めるものです。
実際に、手を入れてみると忽ち温まり汗ばんできます。
 つまり、36.5℃の手の温度が低温の屋外側に放射されると、遮熱材で反射再び手に戻され発熱する事で汗をかきます。

 

 

 

ヘルメットも同じで、帽体内の温度が低ければ低いほど、頭部からヘルメットに輻射熱が放射され、帽体内の遮熱材で反射され再び頭部に照射、熱を発生する事になります。これが、ムレの最も大きな要因です。


   即ち、ムレの大きな要因は、自分の熱が理由です。

 

 

 

 

この様な商品が販売されています。

 

 

 

 

 

元々、この商品は弊社が平成24年開発したもので、商社を経由してこの会社に技術が伝わったものとおもいます。従って、当初は弊社の遮熱材を使って販売していましたが、対象遮熱材が廃版になると忽ち他社の遮熱材の使用を始めたようです。最近、大手企業でも販売しているのにビックリです!!


弊社の許可なく勝手に販売していて腹は立つけど、それ以上に

温度表示方法が、さも涼しいと誤解させます。

上記パンフレットに、サーモグラフィーの温度測定の画像が載っています。ヘルメットの表面が74.6℃、内側は24.1℃でその差は何と50.5℃で、

物凄く涼しくなるのだと連想させますが現実は逆です。

 

理由は、

第二の熱源である頭部です。
 

内側温度は、低くなればなる程頭部から放射される輻射熱の量は増えます。そして、

 

この輻射熱は遮熱材にて反射され、再び頭部に戻され発熱の要因となるのです。

 

その結果、頭部の暑さやムレが発生しやすくなります。


(参考)
 私達は、暑さの基準を気温や室温等温度を基本に考えておりますが、実際には輻射熱の影響も非常に大きいのです。前述のPOINT3に関しては触れてきませんでしたので、以下の電子レンジで魚を焼く例で説明します。

  内部温度25℃の電子レンジに、10℃の魚を入れたとしましょう。
そのまま放置しておくと、25℃の空気が魚にジワジワゆっくり伝導熱の形態
をとって熱移動しますが魚は焼けません。魚の焼ける温度は50~60℃位の
様ですからとても食べられる状態にはありません。

 今度は、スイッチを入れ輻射熱(マイクロ波)を照射すると分子が振動し熱を
発生、短時間で魚を調理する事が出来ます。この時、内部の温度は若干上昇する
だけです。

 

即ち、私達が暑さを感じるのは気温が高い事もありますが、それ以上に輻射熱
の影響が大きいと言う事が解ります。

 


2021年05月26日